「好きだよ」 最近のはぱっつぁんは、こればっかりを繰り返す。 真剣な目で冗談っぽい目で、 慈しむような目で愛でるような目で。(たまに泣きそうな顔もあったかもしれない) 何度も何度も、俺に愛の言葉を囁く。 居心地が悪くて目を逸らす俺、まだ言い続ける新八っつぁん。 あぁもしかしたらこの人は、俺ではない他のもっともっと遠い人に向けてこの言葉を吐いているのかもしれない。 そう思って(何故か少し期待して)、ちらりと視線を戻して(しかし毎回毎回バッチリと交じり合ってしまうそれに) 俺は少し絶望する(期待した分よりも少し少ない)。 「好きだよ」 あぁもう止めてくれと言いたくて開いた口は、あなたの微笑みに吸い込まれるようにして閉ざされて(断じて口付けをされているわけではない) 俺はまた視線を逸らす(そしてさっきと同じ事を繰り返す)。 俺も好きだよ。そう言ってみても、 困ったような笑顔でちょっと違うかな、と返された(どこがどう違うのかわからなかった)。 どこが違うの、って聞いた(どこがどう違うのか全然わからなかったから)。 全部違うの、って言われた。 また、困ったような笑顔。(あぁまた、すこし泣きそうな顔かもしれない。) 「・・・・・・すき、だよ」 そう俺に告げるあなたの顔が 真剣で冗談っぽくて慈愛に満ちていてすごく悲しそうな顔をしているってこと 気付いているのかなぁ(おそらく気付いてはいないんだろうなぁ)。 「・・・・・・・・・・俺も、好きだよ」 そう言って抱きしめたこの人は、多分ゆっくり微笑んだ(あなたを日々想って、一生が終わればいいのに)。 --------- 06 7/22up |